おわりのはじまり・コーヒーショップ パオズ閉店
青森市古川にある
コーヒーショップ パオズが市民に
惜しまれる間もなく、閉店しました。
今週は、すべての内容を変更して、お届けします。
「閉店の知らせは、あえて大々的にはしなかった。」
とは、マスターの飯塚直幸さん。
2010年・4月30日
お店では、弾き語りライブが行われていた。
最近、パオズでは、定期的にライブが行われている。
今日は、その曜日ではない。
それを聞くのは、制服を着た男子学生たち
皆、今日で、パオズが閉店する事を知っているようだ。
パオズは、今から15年前の1995年に開店した。
当時45歳だった飯塚さんは、脱サラするには今しかないと心に決め
22年勤めていた会社を退職、自分の店を構えた。
開店当初は、飲茶のお店。
中華まんじゅう、杏仁豆腐などを出していた。
その頃は、マクドナルドなどのハンバーガーショップはあったものの
飲茶をやる店は大変めずらしく、毎日満員。
土曜と日曜は、店の前に行列ができたほどだった。
しかし、中華まんじゅうの生地を一からつくるには大変手間がかかる
3回発酵させなければならないうえに、1日30個しかできない
前の日のつくったものを冷凍されなければ、受注に追いつかないなど
生産性の悪さを痛感。
開店の2年後から、徐々にバーガーへと
移行していく。バーガーに完全移行してからも、杏仁豆腐だけはメニューに
残ったが、材料の注文の単位が変わり、2年前にやめた。
飯塚さん
「今でも、開店当初から残ってるメニューがあるのだよ。」
「なんでしょうか?」
と聞いてみたら、
これ!
抹茶オレ!
「これも目茶目茶売れた。1日で牛乳が20本なくなるのだよ。」
お店に転機が訪れたのは、今から8・9年ほど前のこと
ひとりのおじさんがやってきて、店に何気なく飾られていた
奈良岡正夫の絵をみて言った。
「管理が悪いな。おれだったら、この絵なおせるよ。」
そのおじさんは、浜田剛爾さん、まだ国際芸術センターが出来る前で
当時は準備中、のちに館長になる。
二人の幼少期の実家が近所だった事もあり、一気に親しくなったのだそう。
その浜田さんが
「青森には、若い奴らの発表の場がない、発表の場をつくれ」
とよく言っていた。
飯塚さんは、その言葉を聞いて、自分の店の壁を自由に貸すことにした。
若者は好き勝手にやるはず、その事も覚悟の上で採算度外視で始めた。
しばらくすると、パオズには発表の場があると
ネットや口コミで聞きつけたワカモノたちが、自分の作品を持参し殺到した。
絵画、イラスト、写真、映像、パフォーマンス、芝居、音楽、落語と
色々なジャンルの作品が展示され、イベントも行われた。
「1919年、ドイツでつくられた学校、バウハウスって知ってる?
あんな感じだったんじゃない。」とは、飯塚さん。
時は流れ、今日の日を迎えた。
弾き語りライブをしていた、小林一博さんの演奏が終わった。
その後、記念撮影が始まった。
飯塚マスターも入ってパシャリ、本日を持ちましてパオズは閉店します。
多感な時期である彼らにとって、この店に出入りしていた事は
大人になっても、必ず記憶に残るだろうと、勝手に思った。
実際に、学生のひとりがマスターに
「店が無くなるのはさびしい、次はどうするんですか?」
と聞いていた。
この日、弾き語りライブをしていた小林一博さんは
小林さん「青森ではこうして、若者にライブをやらせてくれる
お店はほとんどないので、ありがたかったです。
また、やりたいです。」
小林さんは1年以上、定期的にパオズでのライブを続けてきた方だ。
最後に飯塚マスターに、今の率直な気持ちを聞いてみると
| 心なしか目が潤んでいるような気がしたが、飯塚さんは、湿っぽいのは嫌いだと言っていたので、見間違いだろう。 | これも泣いているようにみえるが、目にゴミが入ったのだろう。 |
飯塚マスター
「ワカモノに場所を提供しても、商売にはならなかった。
でも、自分の心は豊かになった。お店を始めた当初は無趣味な私だったが
今では、知らない町に行くと、まず美術館を目指すようになった。
こういう事をはじめて、私だって、色々勉強したのよ。」
終わったばかりで少し聞きづらかったが、
聞いてみた。
今後はどうされますか?
「さらに勉強して、色々なジャンルのやつと話をしたい。
そして、きちんとワカモノたちをバックアップしてやりたい。
そこで彼らを交流させて、自分が橋渡しの
役割が出来たらいい。仲介役でいい。私もワカモノもお互い
50:50で楽しめればいいじゃない。また新しく店かスペースを構えて
ワカモノに経験をつませたい。今までもそうだったけど
私の所は道場、稽古場だったんだよ。ここで練習して
その成果を他のライブスペースや
展示会場・美術館でためせばいいと思っていた。
次につくる場所も、何でも実験できる、自分達の
ホームタウンだと思ってくれたら、嬉しいね」
と、更なる野心をのぞかせてくださいました。
おわりのはじまり
| 8年ほどまえから始めた、らくがき帳は現在11冊目を越えた。 |
コーヒーショップ パオズ
15年間、おつかれさまでした・・・、ひとまず!